42. 小林先生への告白①

いじめトラウマを生き抜く方法

過去のいじめで苦しんでいる(いじめ後遺症の)あなたへ。いじめ後遺症うつ病者本人が、自身の、いじめ体験・いじめトラウマ体験・うつ病闘病体験について語ります。いかにトラウマを生き抜くかを考えます。いじめ自助グループ、トラウマ無料スカイプ相談など。

42. 小林先生への告白①

こうして大河内君の死をきっかけに、僕の過去を発表しようとする気持ちと、それはとてもつらいことだという気持ちの責めぎ合いの中で、僕は葛藤したのでした。そして、その弱い企てを小林先生に聞いてもらおうと思いました。そして、そのためには小林先生にもついに、過去のことを知らせなければならないと思いました。とにかくもう言わずにいられないという心境でした。

 

それまでも何度も過去のことを知らせようと思ったことがありました。しかし勇気がなくて言えませんでした。精神科の先生と話すのと、小林先生と話すのとでは大きな違いがあるのです。伊藤先生と僕は医者と患者の関係なのです。だから僕が何を言っても彼は僕の味方なんだという安心感があるのです。

 

しかし、小林先生だと話は違うのです。たとえ、大学の助教授と学生という関係ではあるけれど、やはり対等な関係なのです。僕の話を聞いて、僕のことを軽べつするということもあり得るのです。もちろん小林先生がそんな人ではないということは十分に分かっているのですが、それでも過去のことになるとどうしても、しりごみしてしまうのです。

 

しかし、そのときは違いました。大河内君という中学生の死が、今まで僕ができなかったことをさせたのでした。逆に今度はそのことを小林先生に言わずにはいられないような心境になりました。大河内君の死を通して、何か見えない力が僕に働きかけてきたのでした。

 

こうして、とにかく小林先生に話しに行こうと思ったのですが、その前に僕が主張したいことをアトランダムにノートに書き留めておきました。「いじめ」について僕が考えられ得るすべてのことを、断片的にであれ書き留めておきました。そして、それをもって僕は小林先生の研究室に行ったのですが、部屋に入るのは割りとすんなりできましたが、核心的な所へ話をもって行くことは、なかなかできませんでした。やはりいざとなると、過去のことを直接自分のロで話すことは辛いことだったのです。僕は勇気を出して話そうとしました。しかし、ロが開きませんでした。小林先生は僕が言ってくるのをじっと待っていました。それでしばらく沈黙が続いたのですが、どうしても過去のことを自分の口で言うことはできませんでした。

 

それで結局くる前に書き留めておいたノートを先生に渡すことにしました。しかしそのノートを渡すことさえとても勇気のいることでした。このノートを読まれたら、僕がどんなにダメな奴か知られてしまう、という恐怖におびえました。しかし、もう伝えずにはおられないと思いました。それでやっと思い切ってそのノートを先生に渡し、僕は逃げるように大学を後にしました。

 

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