20. うつ状態と付き合って行くことの難しさ

いじめトラウマを生き抜く方法

過去のいじめで苦しんでいる(いじめ後遺症の)あなたへ。いじめ後遺症うつ病者本人が、自身の、いじめ体験・いじめトラウマ体験・うつ病闘病体験について語ります。いかにトラウマを生き抜くかを考えます。いじめ自助グループ、トラウマ無料スカイプ相談など。

20. うつ状態と付き合って行くことの難しさ

うつ状態という病気と付き含って行くに当たって失敗したことが何度かありました。

それは精神科に通い始めて5ヵ月目ぐらいのことだったと思います。

 

精神科でもらった薬がよく効いたことがありました。非常に気分がよく、体も軽かったので、とうとう本当に直ってきたかと思って喜んでしまいました。それで調子に乗って頑張りすぎてしまったのです。特に勉強に関してですが、語学の予習をしっかりやったり、しばらく休んでいたハイデガー研究会にも久しぶりに出ました。ハイデガーの文献もドイツ語で読んで予習して出ました。こうして僕は調子に乗って2週間くらいかなりいろいろなことを詰めてやってしまいました。

 

そうしたら、2週間くらいたったときに、それはちょうどハイデガー研があった日だったのですが、僕は予習をバッチリやってハイデガー研に出ました、研究会が始まるや否や、急激に僕は「うつ状態」へと落ち込んで行きました。それはほとんど数秒のことだったと思います。あっと言う間に僕は、かなり重度の「うつ状態」に陥ってしまったのです。テキストに目がいってはいるのですが、さっぱり頭にはいって来ません。ついさっきまであんなに予習していたのに、今はどんなに一生懸命にテキストを読もうとしても、頭に入って来ないのです。それだけでなく、その場(哲学研究室)にいるのが非常に苦痛になってきました。もういすに座っているだけで苦しいのです。それでもその場は何とかしのぎました。しかしいつも研究会の後に夕食をみんなで(5~6人)食べに行くのですが、僕はそれは失礼して急いで家に帰り、寝込んでしまいました。

 

それで翌日急いで病院へ行き、伊藤先生に不調を訴えました。すると先生から次のような言葉が帰ってきました。

「薬を飲んで仮によくなっても、あまり頑張ってはいけないのです。自分がもっている力の50%ぐらいしか使っては行けません。せっかく良くなっても疲れてしまうと、再び「うつ状態」に戻ってしまうのです。だから本当に良くなるまでは、調子が良くなっても頑張らないように注意してください」。

 

それで「うつ状態」の回復の難しさをつくづく思い知らされました。

 

頑張り過ぎたこと、これがせっかくよくなっていた僕の調子を悪くさせた原因でした。だから、これからは調子がよくなっても、自分の力の50%ぐらいしか使わないように注意しなければなりませんでした。しかし、これは結構難しいことなのです。「うつ状態」の真っただ中にいる時は、何も手につきません。しかし、何もしないで寝ていられるかというと、そうではないのです。暇で暇でしょうがないのです。だから何か暇つぶしをしたいのですが、何かをやるエネルギーがわかないのです。ただ時間が過ぎて行くのを待つしかないのです。「うつ状態」にはそういう辛さがあります。そういう意味で「うつ状態」は、時間との闘いだと伊藤先生は言います。そして、そういう「うつ状態」にあった人にとって、「うつ」から抜けた状態になるとつい喜んで調子に乗ってしまうのです。「うつ状態」の時頑張れなかった分を、うつが晴れたときに埋め合わせしようとするのです。しかし、これは本当に直った人でないと許されません。やってはいけないことなのです。完全に直っていないのに、頑張って疲れてしまうと、再びまた「うつ」に戻ってしまうのです。とくに僕のような自力的な人間は調子がよくなるとつい頑張ってしまうのです。しかし、頑張り過ぎるとまた元に戻ってしまうのです。だから、調子がよくなっても常に自分をセーブするように気をつけなければならないのです。「うつ」から完全に直るまでには、このような辛さもあるのです。だから「うつ状態」の辛さのことを「やりたいのにやれない、やれるのにやってはいけない辛さ」とも言えると思います。

 

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