06. かけがえのない友達

いじめトラウマを生き抜く方法

過去のいじめで苦しんでいる(いじめ後遺症の)あなたへ。いじめ後遺症うつ病者本人が、自身の、いじめ体験・いじめトラウマ体験・うつ病闘病体験について語ります。いかにトラウマを生き抜くかを考えます。いじめ自助グループ、トラウマ無料スカイプ相談など。

06. かけがえのない友達

もし、わたしがクラスの中で誰とも交友関係を結ぶことができなかったら、恐らくわたしは高校を3年間で卒業できなかったと思います。否、卒業することもできなかったと思います。それが3年間で無事卒業できたのは、クラスの中に二人の友達を得ることができたからです。

 

佐々木さんと田辺さんです(二人とも男子です)。彼らとは、3年間ずっと同じクラスでした、これは、本当にラッキーなことだったと思っています。高校卒業後、友達を作ることができず辛い思いもしたせいで、今振り返ってみても本当にラッキーな出会いだったと思います。

きっかけはと言われても、ほとんどそんなものはありませんでした。先ほど述べたことと矛盾するかもしれませんが、彼らとだけは本当に自然に仲良くなることができました。気づいたら、休み時間を共にし、気づいたら、昼食をともにしていました。二人とも非常にわたしとセンスがあっていたのだと思います。彼らもやはりわたしよりだいぶ頭はよかったのですが、その障害も二人の前では乗り越えられました。彼らとは、劣等感を感ぜずに付き合うことができたのです。強いてきっかけを挙げるなら、出席番号がわたしの前と後ろであったということだと思います。クラスが決まって一番はじめに席につくときは、出席番号順(アイウエオ順)に座るのです。すると、佐々木、下村、田辺の順で座ることになるのです。おそらくそのおかげで、割と早い時期に彼らと友達になれたと思います。この二人との出会いがラッキーだったということは、後の経過からも判断できるのですが、高校時代、彼ら以外とは、ほとんど友達になれなかったという事実からも、得難い友達だったことが言えると思います。

 

彼ら二人について少し紹介したいと思います。

 

まず佐々木さんですが、年の割にははじめから落ち着いた感じの人でした。そして、既に高校一年の段階で、「謙虚」ということを考えている人でした。つまり謙虚でありたいという姿勢が、既に彼にはありました。そんな雰囲気がわたしを安心させたのだと思います。彼といるとホッとしました。そして、謙虚さだけでなく彼は非常にユーモラスに富んでいました。そういう意味でも気が合いしばしば二人で爆笑してしばらく笑いが止まらないというようなことも多々ありました。又、その他いろいろな話をしました。最近感じていることや、考えていること、互いに素直に話すことができました。自閉的なわたしの心を開いてくれました。彼とは今でも親友です。

しかし、中三のことはどうしても言えませんでした。だれかに話したかったのですが、自分はクズであるという認識がどうしてもそれをさせてくれませんでした。

 

佐々木さんは高校時代、本当に大切な友達だったのですが、彼から一つの大きなものを学びました。それは先ほど書いたように「謙虚」ということでした。もちろん、わたしも高校に入る前に既に「謙虚」という「言葉」は知っていたのですが、しかしそれはただ言葉を知っていたというだけで、ほとんど内実のないものでした。そんなわたしに「謙虚」ということの大切さについて気付かせてくれたのが、佐々木さんだったのです。佐々木さんと接していると、彼の謙虚な姿勢がしみじみと伝わってくるし、佐々木さんは人を判断するときも、その人が謙虚であるかないかを中心に考えていました。こうして、佐々木さんと接してみて初めてわたしは謙虚ということを自分自身の問題として考えるようになりました。そうしてわたしも、謙虚でありたいと思うようになったのです。

 

次に田辺さんですが、彼は又非常に個性的な人でありました。自由奔放で無頓着な性格でした。その無頓着さが、わたしを安心させました。彼のすばらしいところは一人一人をそのまま素直に受け入れるところだと思います。わたしが自閉的であまり話さなくても、気にせずに、自分の言いたいことを言い、わたしをぐいぐい引っ張ってくれました。彼とは、いつも昼食を共にしました。昼休みなど学校を抜け出し(本当はいけないのですが)カレー屋さんやラーメン屋さんに食べに行ったりしました。わたしの高校時代の楽しい思い出の一つです。彼とは、高校時代、クラスの中では一番多くの時を共にした友達でした。わたしは本当にこの二人の友達にあえてよかったと思っています。

今思うと、わたしの高校生活を本当に支えたのは大学現役合格などではなく、クラスの佐々木さん、田辺さん、そして、演劇部だったのではないかと思います。

 

前に戻る |  続きを読む

トピック②いじめ後体験に戻る