10. 『真昼の悪魔』に見るうつ病と希望④

いじめトラウマを生き抜く方法

過去のいじめで苦しんでいる(いじめ後遺症の)あなたへ。いじめ後遺症うつ病者本人が、自身の、いじめ体験・いじめトラウマ体験・うつ病闘病体験について語ります。いかにトラウマを生き抜くかを考えます。いじめ自助グループ、トラウマ無料スカイプ相談など。

10. 『真昼の悪魔』に見るうつ病と希望④

確かに、うつ病は人生の意義を保証し、支えることができる。吟味されていない人生は、うつ病には役立たない。おそらく、これが私の得た最大の啓示だろう。うつ病が賞賛に値するのではなくて、うつ病に苦しんだ人々が、その苦しみゆえに賞賛に値する人間になっていくのである。この基本的な事実が、苦しんでいる人々の支えとなり、苦しみの証人である彼らの忍耐と愛を鼓舞してくれますように。

エンジェルがしているように、私には自分を愛せなくなった人々に向けて、自愛の感情を呼び覚ますための手段を伝える使命がある。彼らがこの本に書かれた物語から、希望をもつことだけでなく、自分自身の何かを愛するすべを見つけてくれることを願っている。

悲しみを完璧に理解することが、喜びを完全に承認する基盤となる。つまり、喜びそのものの輝度が強まっていくのだ。

 

「生き延びた私たちは、それ(うつ病)から何かを見つけていかなければならない。つまり、私たちは何者か、ということを。ハイデッガーは、苦悩は思考の源泉だと信じた。シェリングは、人間の自由の本質だと考えた。ジュリア・クリステヴァは、苦しみの前に頭を垂れる。「私はうつ病のおかげで、またとない形而上学的な明晰さを得た。悲哀や苦悶のなかで浄化されることは人間のしるしであり、それは確かに大勝利ではなくささやかなものにすぎないけれども、戦いの準備を整え、創造性に向かわせてくれるものだ」

 

「私は薬を飲む人生と折り合いました」。話している途中、突然マーサ・マニングは熱をこめて語り始めた。「私はそれがうれしい。そのことに感謝しています。(略)人間はうつ病を打ち負かせません。何とか一緒にやっていく方法を学び、それと妥協していくしかない。病状が落ち着いている状態にとどまるようにするのです。解決しなければならないことが山ほどあるでしょう、屈服しないために多くの時間を費やさなければならないでしょう。でも人生をつかめるところまで近づいていって、そして取り戻したのならば、これは自分のものだと主張したほうがいい。そうでしょう?」

 
 

(『真昼の悪魔』 第十二章「希望」 原書房 堤理華訳)

 

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