自己肯定とは、自分に人として意味を見出し、それによって、自分は自分であってよいと自己承認することであり、自分が自分であることの根底をなす事態のことです。
そして、自己肯定の根拠を相対的意味(価値)にもつことは、人の依存的なあり方の根拠となるのです。
(例)彼女は介護士として働いている。彼女は自分の職業によって、自分は人のためになっていると理解している。彼女にとって介護士というのは自分自身の社会的意味であり、それに自分の人としての意味を見出している。つまり自分を意味ある(有用な)人間だと思っている。しかしこの介護士であることの意味は、いうまでもなく相対的な意味である。
つまりある社会との関係において成立する意味なのです。例えば社会福祉法人と言う組織において、ケアマネージャーやヘルパーといった同僚達との役割関係の間で、あるいは介護を受ける利用者との関係の中で意味づけられているのです。ところで彼女が介護士をやめたら、彼女の人としての意味はなくなってしまうのでしょうか。彼女は無意味になってしまうのでしょうか。何らかの職業についていなければ、その人の(存在)意味はないのだろうか。少なくとも彼女は自分の意味を職業に依存させている。それをよりどころとして自分の意味を理解しているのだ。
このように相対的意味(価値)をおのれのよりどころ(自己肯定の根拠)とすることは、相対的意味(価値)依存することであり、人の依存的なあり方をあらわしているのです。