大学2年12月ころまでは、常に波をもって周期的に「うつ」がやってきました。しかし、波をもっているにしても調子がよいときもあったので、勉強にしても芝居にしても何とかやって行くことができました。
そして、年が明け、1月ころから体調のよいときのほうが多くなり、2月は1ヵ月間ほとんど調子がよいときが続きました。僕はそれで今度こそ本当に回復して来たかと喜びました。しかし、前にも失敗しているので調子はよくても、あまりエネルギーを使わないように自分の力をセーブすることも忘れませんでした。
1ヵ月間も調子のよいときが続いたなんて、本当に数年ぶりだったのです。再びうつ状態になる可能性があるとしても喜びは隠せませんでした。中2以来初めてだったかもしれないのです。
この1年間やれなかったことを3年生になったら改めてやろう、勉強で遅れを取った分3年生になったらがんばろう、たくさん本を読もう、芝居にも気合を入れて頑張ろう、今年もしかしたら舞台に出られるかもしれない、今から少しずつ頑張らなければ、YMCAの活動にも復帰しよう、ハイデガー研にも復帰しよう、などといろいろやりたいことが出て来て、それを考えただけでもうれしい気分になりました。
しかし、そのうれしい気分は長くは続きませんでした。2月の末ぐらいからふたたび「うつ」へと落ち込んでしまったのです。
始めの内はこんなのすぐ直るさ、と思っていました。ちょっとした波が来ているだけなのだ、と思いました。2、3日すればまたよくなると思いました。しかし、それから一週間がたち10日がたち、1ヵ月がたち、2ヵ月がたち
・・・・結局大学2年の3月から、同年の11月までずっと「うつ状態」が続いたのでした。およそ9ヵ月間、ほとんどいいとき知らずになってしまったのです。
このことは、とくに大学2年の3月にこたえました。2月が1ヵ月ずっとよかったので、これは本当に回復して来たのだなと思っていたところに、次の3月はずっと「うつ状態」だったのです。天国からいきなり地獄に落とされた感じでした。上げといて、落とされたのです。
これは非常にこたえました。落胆しました。2月のとき想像していたやりたいことがガラガラと音を立てて崩れて行きました。
「今度こそ本当に直ったと思っていたのに」、僕は心の中でそう叫びました。しかし、こうした僕の痛切な訴えも、「うつ状態」の前では無力でした。同時にさまざまな効うつ薬も無力でした。ただ僕はそれをひたすらこらえなければならなかったのです。