10. 演劇部の紹介

いじめトラウマを生き抜く方法

過去のいじめで苦しんでいる(いじめ後遺症の)あなたへ。いじめ後遺症うつ病者本人が、自身の、いじめ体験・いじめトラウマ体験・うつ病闘病体験について語ります。いかにトラウマを生き抜くかを考えます。いじめ自助グループ、トラウマ無料スカイプ相談など。

10. 演劇部の紹介

わたしは、先に述べたように、中学校演劇部に入っていました。そして中3の最後の発表会の時の稽古を通して、自分は相当芝居が好きだということをはっきりと自覚しました。だから、高校ではこの最も好きな芝居の活動を通して、人間に対する信頼を取り戻したいと考えたのです(というのも演劇活動は人間関係活動の最たるものだから)。

 

わたしの高校の演劇部は非常によいものでした。どういうところがよかったかというと、まず手作りの芝居作りが体験できるというところです。わたしの高校には記念会館という小ホール(教室を一回り大きくしたようなもの)があって、そのスペースを使って、舞台作りから、照明・音響器具に至るまで、すべて自分たちでセッティングするのです。 具体的には、かきわり張りからはじまって、スタッフ(照明・音響)席作り、台車から荷物を運んで来て、照明器具などの取り付け、音響器具の取り付け、客席作り、などなど舞台設備の全くない空間に、すべて自分たちの力で設計し劇場を作り上げるのです。その舞台作りは部員総動員でやります。中学時代、役者しかやったことのなかったわたしには驚きでした。すごいなあと感心しました。ぐずぐずしてはいられません。一年生のわたしはいつもどなられてばかりいました。

 

次によかった点は、一応顧問がいるのですが、先生はほとんど口を出さないということでした。完全に生徒だけで計画し、実行しました。どんな台本をやるのか、だれが演出するのか、誰がどの役をやるのか等、一切先生は口出しをしません。ただ記念会館を借りるときだけ責任者になってもらうだけなのです。これもわたしには驚きでした。中学校ではやはり、先生主導で、本選びも、演出も、舞台作りもすべて先生の指導のもとでやっていました。そもそも、演出、役者、音響、照明、大道具、小道具など役割分担がきちんとできているのに感心しました。それらを全て生徒の意志でやってゆくのです。

 

さらにうれしいかったのは、非常に公演回数が多かったということでした。公演するのは一日だけだったのですが、年間4回位公演をしていました。これは高校演劇部としては飛びぬけてハードだと思います。わたしは高校3年間で8回以上舞台に立つことができました。これが可能であったのも体育館とは別に記念会館というホールがあったおかげだと思います。そして、同時にこの演劇部は教育の場としても大変素晴らしかったと思います。部活動を通して人間的にも非常に成長させてくれるような場であったと思います。

 

さて、もう少しこの演劇部について紹介したいと思います。ただいじめ後のテーマからははずれますので、この後の部分は飛ばしてもらっても構いません。次のトピックでいじめ後と演劇部というテーマの話に入ってゆく予定です。

 

活動のまず一番初めは台本探しから始まります。これは、オリジナルでもよかったのですが、たまたまわたしたちの代は書きたいという人がいなかったので、既成の台本から探し出すことになりました。みんな1人1冊か2冊ずつ探してきて、その中から選ぶことになるのですが、なかなかみんな意見が一緒になることはないので、一つのものに決めるのは結構大変でした。大体これに2週間くらいかかります。わたし達の代では人数(6人、役者4、スタッフ2)が少なかったので、なるべく出演者の少ないものを選びました。台本が決まったらさらに2週間くらい台本読みをします。2週間と言っても、その間でみんながそろう時はめったになく、校内で活動する時間も2時間前後と短かったので、2週間でも少ないくらいでした。 そうして次に立ち稽古に入ります。これには2か月から2ヶ月半位かけます。しかし、時間の制約や、なかなかみんな集まれないことが多いので、いつもぎりぎりまで稽古をしていました。公演1週間前になっても演出が決まらないということもざらでした。夜、公園で10時ごろまで稽古したこともありました。前日まで演出や音響が決まらないということもありました。

 

そうしているうちに、とうとう公演1週間前がやってきます。大体公演は、土曜日の午後やるのですが、その週の月曜日から土曜日まで記念会館を借ります。そして、はじめの3日から4日かけて、劇場作りに部員総動員であたります。そして、公演前日ころ、やっと、舞台・音響・照明のセッティングが完了し、通し稽古ができることになります。時には間に合わないこともあり、本番ぶっつけでやったこともありました。こうして本番を迎えるのですが、本番が終わった後もゆっくりしてはいられません。記念会館は土曜日までしか借りれませんので、すぐ後片付けをしなければならないのです。これはセッティングと違ってあっという間に終わってしまいます。セッティングには3~4日かかるのに後片付けは2時間くらいで終わってしまうのです。こうして記念会館を元の通りに戻して、荷物を部室に持ち帰り、学校を後にします。

 

しかし、これで終わりではありません。最後には必ず打ち上げをします。これは、ピザ屋、お好み焼屋などいろいろ行きましたが、ここで乾杯をしてやっと一つの公演が終わったことになります。一つのことを長い間かかってみんなでやり遂げた爽快感がそこにはありました。こうして以降1週間位はオフということになるのですが、1週間もたつと再び次の公演に向けて台本探しということになるのです。これが当時の戸山高校演劇部の活動サイクルでした。

 

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